あの子を前にして、俺は経済的合理性を放棄せざるを得なかった。
予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
「人は常に合理的に行動する」
これが経済学の基本的な考え方である。
このモデルをもとに、現代の経済学は成り立っている。
え、でも、「本当」に?合理的に行動なんてする?
俺があの子を前にして、経済的合理性に根ざしてデートに誘う?
それに対する一つの回答が、本書のテーマ「行動経済学」である。
人は「基本的には」合理的に行動する。
でも、それは「常に」じゃない。
「頭の中」では合理的でも、実際の場面に遭遇すると、途端に不合理な行動をとる。
でも、それは「予測不可能」な不合理性じゃない。
その場面に遭遇すると、俺も、お前も、意中のあの子だって、みんな同じ不合理な行動をとる。
それが、本書が実験をもとに解き明かした「行動経済学」の一端である。